しらたまだんご

古典妖怪好きな絵師の気ままなお気楽日記。

神獣「狛犬」の話

新年早々体調が悪い困ったちゃんです、こんにちは。

 

去年の話です。

12月に入り、今年は戌年なので年賀絵は何にしようかなーと考え始めだした頃の話です。

 

妖怪絵って考えて、はて何がよかろう?と思った時、一番最初に思い浮かんだのが「送り犬」です。

山犬とか狼だとか色々と犬に変化がありますが、この話は日本全土に渡っているからいいかなー…って。

 

でも送り犬ってお話は、夜に旅人が山道を歩いているとついて来て、転ばなければ問題ないけど、転んだと思われたらたちまち喰い殺されるってお話なんですよね。

地方により展開やイヌ科妖怪の行動には千差万別のようですが…

 

それ普通に昔の旅人が野犬に襲われたってだけじゃない?

襲われなかったのって、野犬になって日が浅い人馴れした犬じゃない?

…と思ったが最後「人を襲う」「普通の野犬じゃね?」と言うことで、正月にはむかなくない?…と考えてしまい却下です。

と言うかですね、送り犬ってこんな感じの痩せた犬なんですよ。

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うーん…正月っぽくはない。

てかやっぱりこれ…野犬だよね?

 

次はビジュアルから「犬神」を考えました。

すごくこの方は栄えるんじゃないですかね?

水干姿も素敵だし…

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とまで考えて思い出した!はい憑き物でーす!縁起悪いじゃん!

ただでさえ正月に妖怪描いちゃってんのに!却下却下!

 

で…縁起が良くて見た目も良いものはないかなーと散々考えて…

たまたま神社の前を通ったら…忘れていましたよ!狛犬様を。

何で忘れてたんでしょうね?

色々考えたんですけどいざ思い出そうとするとまったく出てこないんですよね!

 

ちなみに狛犬は妖怪ではないです。

神社に仕える御眷属の神獣です。

他に馴染みがある御眷属さんはお稲荷さんの狐さんですね。

 

で、狛犬を描くにあたって、色々調べてみたんですよね。

 

そしたらびっくり!

あの両サイドの狛犬さん達、左右で違う動物だって知ってました!?

口を閉じてる方が「狛犬」開けてる方が「獅子」なんだそうです。

 

私の大雑把な記憶では、御眷属さんは「狛犬」「稲荷の御狐さん」「獅子」だと思ってたんですよ。

で、絶対に対でいるものであるとも思い込んでました!

そして、獅子は今は神社で殆ど見かけないレアな御眷属って思い込んでたんで、さらにビックリ!

(ちなみに石像の獅子には角がある事が多いようですよ)

 

なぜ唐突にこの事実を知ったかと言いますと…カラーリングを考えていたんですよね。

石像風に白黒でもいいかなーとも思ったんですが、折角なので色彩良くと考えて色は何がいいのか調べていたら…

 

検索したら分かると思うんですが、いま妖怪で検索するとゲームやアニメの「妖怪ウォッチ」が引っかかりまくります。

そこでコマさんとコマじろうと言う狛犬モチーフの超キュートなキャラクターが出てきます。

…はて、何で色違うんだろう?兄弟って事だけかな?

と言う事に気が付きまして。

 

で、狛犬の文献をちょろっとみたら

「獅子は口を開いて金箔押し、毛髪には緑青を塗り、金の毛描を施す。狛犬は口を閉じて銀箔を押し、毛髪には群青を塗り、銀の毛描を施す。」

What?獅子ってなんぞ!?ですよ。

 

それと同時にですね、そう、妖怪ウォッチのコマさんとコマじろうはちゃんと「狛犬と獅子」のカラーリングをしてたんです!

うわー!なんか感動!!しらなんだ!です。

 

と言うわけでカラーリングも決定して、一気に描いたのが今年の正月絵です。

いやー…日々発見ってあるものですね!

 

今年は新しい発見が見つかるような、実りある年にしたいものですね。

…と言うわけで、ほくほくと出来た物を人に見せたところ

「あ!シーサー?」

 

…そうだねシーサーもいたねー

鮮やかだからシーサーに見えるよねー…

本当に思い出そうと思うとまったく思い出さないもんで…ぶつぶつ(以後ループ)