しらたまだんご

古典妖怪好きな絵師の気ままなお気楽日記。

子供の頃の里帰りの話

皆さんこんにちは。
熊本地震から二年経ちましたね。

もう二年と言いますか、まだ二年と言いますか…色々と複雑な感覚です。
私の住んでいる田舎は復興はまあまあって感じなのですが、結構たくましく元気にやっています。

 

さて、今日書く事は、昔の思い出をつらつらと書こうかなーと思います。

私が小学校二年生くらいの頃だったと思います。


当時、夏休みになると毎年母に連れられて母方の田舎に遊びに行っていたのですが、この年は珍しく父方の田舎に遊びに行った時のお話。

あまりに昔の事なので、なぜこの時父方の田舎に行ったのか不明なのですが、初めて行く父の実家が楽しみだったのを覚えています。

 

父は関東の北側の方の県出身で、実家は田舎で農家を営んでおり、かなりの旧家で立派な日本家屋だったと記憶しています。

父の車に乗せられてえっちらおっちら向かって行き、着いた頃にはすでに夕方でした。


そこで父の弟さん夫婦に迎えられ、ご挨拶し、ご飯をご馳走になって深夜近くになった時でしょうかね。
すでに布団に入っていたのですが、慣れない環境と旅行にテンション上がり気味のガキンチョな私は、布団から抜け出して探検ごっこよろしく遊び始めました。


でも、見つかってきゃあきゃあ逃げたくて、わざと親が居るであろう部屋に忍び足で近寄っていきました。

いい感じに迷惑なガキンチョですね。

 

さっそく居間を覗くと、お爺さんが寛いでいるのが見えました。

 

細面で健康そうな浅黒い日焼けをしたお爺さんで、団扇で顔を仰いでいました。
服装は上は白いタンクトップ…と言うよりグンゼの男性用肌着って感じの物に、下はざっくりしたズボンでした。

 

「ああ、お爺ちゃん居たんだー」と思って見ていると目が合いました。

 

にかっと音が出るほどの笑顔をされ、ちょいちょいっと呼ばれたので近くにいくと
「まだ寝ないのかい?」と言われました。

「まだ寝たくない」と素直に言うと、そうかそうかと笑い
「じゃあ、眠くなるまで居るといいよ」と言ってくれたので、ここぞとばかりに私はお爺ちゃんに学校の事とか趣味の事とかを話し始めました。


お爺ちゃんはとても無口な人で、私の話をニコニコして聞いている人でした。

 

さて、次の日。

 

従兄弟である、ちょっとだけ年上の子達数人を紹介されて遊ぶことになりました。


その時「昨日こっちに着いたの?」という質問をされたので「うん、昨日の夕方についてご飯食べて、お爺ちゃんと夜お話したよ。」と昨日やった事を説明すると、その子達が何とも言えない表情をしながらひそひそ話をし始めたのです。

 

私は、いきなりなんで目の前でひそひそ話されないといけないのか、いやな気持ちになったのを覚えています。
でも夕方くらいまで、一応一緒に遊んでくれました。

 

一緒に虫取りなどをし、少し疲れたのでおしゃべりしながら縁側で涼んでいると、奥の部屋にお婆ちゃんが座っていました。
とても小柄で着物を着た丸い感じの人でした。

 

あぁ、お婆ちゃんもいるんだ!と私は近くに寄って話しかけると、こりゃまた無口を通り越してほぼ銅像状態の人で反応がありません。


なので、きっと耳が遠いんだなーと思い、従兄弟たちに「お婆ちゃんお耳遠いんだね」と話しかけると、またひそひそ話し…
その後、この子達は口を聞いてくれずお別れしました。
いったい私が何をしたって言うのか悲しくなったのを覚えています。

 

その日の夜、やはり晩御飯を食べて居間にいると、いつの間にかお爺ちゃんが帰って来ていました。
なので早速そばによって話しかけ始めました。


さすがに話した内容は殆ど覚えていませんが「お爺ちゃん、昼間どこに行ってるの?」と聞くと「畑」と言ったのが印象に残っています。

 

次の日は家に帰る予定で、特に印象に残っているような事も無く、車に乗せられて帰ってきました。
あえて言うなら、夏の山道風景が美しかったなー程度です。

 

で、まぁなんて事ないよくある、親が小さい子供連れて夏休みに実家の田舎に行ってきたよー…ってお話なのですが、これには後日談がありまして…

 

最近になって、ふとこの事を思い出し気になっていた事を聞いてみたのです。
それは、何故に母方の田舎には毎回行っていたけど、父方の方には一回しか行かなかったのか。

 

母の回答は「だって、もう弟夫婦しかいないし。」との事でした。

「いやいや、お爺ちゃんとお婆ちゃんいたでしょ?」と話すと、母は不思議な顔をして、衝撃的な事を言い放ちます。

 

「あなた生まれた時、すでにお父さんの両親は他界してるわよ。」

 

いやいやいや、あり得ない。
私、あの時話したし…浅黒い肌で痩せ型のお爺ちゃんに、小柄なお婆ちゃんだったと。
「ええ?何で知ってんの?写真なんてあった?」と母。

 

…私はあの時話したお爺ちゃんとお婆ちゃんはなんだったんでしょうね。
もし、私にしかお爺ちゃんお婆ちゃんが見えてなかったとしたら、従兄弟たちの不振なひそひそ話も頷けます。
気持ち悪いもん。

 

え?オチですか?
無いですよ、実話ですもん(笑)